ハプニングあれこれ
日本語には外国語から取り入れた外来語がたくさんある。元の言葉が日本語の発音に合わせて、いわば「カタカナ化」されたものだ。その一例が「ハプニング」。英語の happening から来ていて、普通ではない出来事、といった意味で使われる。数年前、新潟の妻の実家を訪ねたとき、どういうわけか、この「ハプニング」という言葉が家族の間で大流行した。子どもたちとおばあちゃんは、どんなに些細な出来事でも、ことあるごとに「ハプニング!」と言っていた。なぜだかわからないけれど、僕はそれが妙に気に障った。でも今思えば、僕自身の祖母が、家の裏を走る列車が汽笛を鳴らし、家を少し揺らしながら通り過ぎるたびに、興奮して「Atmosphere! Atmosphere!(アトモスフィア!)」と叫んでいたことを、なんとなく思い出す。そう考えると、「ハプニング」も少し愛おしく感じられる。
実は今朝、僕自身にもハプニングがあった。ちょっと気が立ってしまったので、こうしてブログを書きながら気持ちを落ち着けている。職場に着いて、研究室のドアを開けようとバッグから鍵を取り出したところ、妻の鍵まで持ってきてしまったことに気づいた。初めての失敗ではないけれど、最近になって起きるようになった現象だ。今年の3月に車を買い替えてから、僕も妻もキーホルダーに大きなホンダのスマートキーを付けている。どうやらそれで僕の頭の回路がおかしくなってしまったらしい。家を出るとき、キッチンのアイランドカウンターに置いてある鍵を、しょっちゅう間違えて持っていってしまうのだ。
困ったことに、妻も今日は仕事がある。そして家から職場までは車で約30分。幸い、妻が出勤するまでに家に戻って鍵を渡せたものの、朝からずいぶん遠回りする羽目になった。職場まで30分、家まで引き返して30分、また職場まで30分。まあ、無駄にドライブするには申し分ないほどいい天気だったのが救いだ。
今週はほかにもいろいろと「ハプニング」があった。まず、このウェブサイトを作ったことが、狙いどおり創作活動を再開するきっかけになっている。先週末には数か月ぶりにポッドキャストを収録したし、ブログ記事も何本か書いた。何年も前から心の中で「いつかやってやるぞ」と自分を脅し続けてきたクリスマスアルバムの制作にも、いよいよ手を出したい。そして次回のポッドキャストのネタになりそうなことは、せっせとスマホのメモに書き留めている。
もう一つは、先日の夜、ちょうど眠りに落ちかけたときのこと。真夜中近く、鶏小屋からものすごい騒ぎが聞こえてきた。羽をバタバタさせる音と、ただならぬ鳴き声。最悪の事態が頭をよぎった。以前にもキツネが侵入し、鶏がけがをしたことがある(幸い、重傷ではなかったと思う)。今回の悲痛な鳴き声も、そのときと不気味なほど似ていた。僕は慌ててズボンをはき、眼鏡を探して外へ飛び出した。妻はもう現場に到着していた。惨状を覚悟して小屋を開けると、一羽が庭へ飛び出していった。だが、そこにあったのは……何もない。ただ、すっかり取り乱した鶏たちがいるだけだった。懐中電灯で小屋の隅々まで調べたが、何かが侵入しようとした形跡もない。みんな無事なようだった。僕はアドレナリンが出っぱなしのままベッドに戻ったものの、開けた窓の向こうの鶏小屋に耳をそばだて、なかなか寝つけなかった。
季節の移ろいを楽しむ僕にとって、うれしいハプニングもあった。地元の霊峰・白山が、このところの寒さと荒れ模様の天気を経て、うっすらと雪化粧をして姿を現したのだ。毎年楽しみにしている光景だ。
というわけで、今週はちょっと妙な一週間になった。週末までは、もうあまり「ハプニング」が起きませんように。
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